8/26(日)

全ての男子高校生にとって、「彼女欲しい」は口癖のようなものだ。僕も例に漏れず、高校生の頃から「彼女欲しい」と言い続けて日々を過ごしてきた。放課後、友人と話すことと言えば「どうしたら彼女ができるのか」「こういう女子が最高」「アイドルと仲良くなりたい」とかいうものだった。

 

モテない男子高校生にとって、この類の話は中身が無くとも盛り上がることが出来る最高の暇つぶしだ。何組の誰々と付き合いたいとか、〇〇高校の何とかって子がかわいいらしいなんて具体的な話ではない。彼女ができれば人生バラ色ハッピーライフ、勝ち組リア充うらやましい、という根拠など全くない異常なまでのガールフレンド万能教の信者たちの雑談が頻繁に行われていた。

思えば、あの場にいたほぼ全員が本当に彼女が欲しかったのかはわからないが、おそらく好きな子がいて、その子と付き合いたいというよりは、とりあえず彼女持ちになれたら楽しそうだという感覚だったような気がする。僕ももちろん彼女が欲しいとは思っていたし、モテたいとは思っていたがこれといって努力することなく、身なりに気を使うことなく、オタク趣味に没頭していた。顔がいいわけでもなく口が上手いわけでもない男が何もしなけりゃモテないのも当たり前だろう。彼女ができる気配など微塵もないまま高校を卒業した。

かわいいと思う子はたくさんいたが、告白して付き合いたいと思うほど熱い気持ちはなかった。あっさり諦められる程度の気持ちだっただけとも言えるが、自分に自信がなく、僕なんかがこの人にどうこうするなんて……という気持ちから、知らぬうちにセーブしていたのかもしれない。はっきり言えば自分が傷つかぬように逃げていたのだろう。勝負をしなければ負けることはない。

 

高校を卒業してから、浪人という俗世間から離れた生活を挟み、大学に入った。1年のころに班に分けられて受ける授業があり、同じ班にかわいい子が入った。こりゃラッキーだと思い、その授業が1週間の密かな楽しみだった。とはいえそれ以外の時間は話すこともなく、今後関わることはないだろうなあと少し残念な気もしていた。しかしつい最近、とある場面でまた同じ班に振り分けられることになり、これは行くしかないと思い、仲良くなろうと積極的に話しかけるようにした。世の中には物好きな人もいるもので、なんだかんだあって付き合うことができた。